これは、研究所としての所員についての紹介の記事である。
一応言っておくが、ここには人間はいない。
いるのは、付喪神となったモノ達だけである。
所長

私は家電妖怪の研究所の管理人だ。
名前はないので、所長とでも呼んでほしい。
狐のお面が付喪神となり、目の前にいた魂の抜け殻となった男の体を憑代として使わせてもらっている状態だ。
自我に目覚めた家電の声なき声を聞く能力がある。
後述の2名は助手として働いてもらっているが、付喪神の仲間だ。
持ちつ持たれつで、協力して暮らしている。
役割としては、能力の実験と記録をつけること。
特に記録については、現状は手足のある私にしかできないことだ。
あくまで狐のお面なので、狐ではない。
とりあえず、見た目のイメージとして火の玉を召喚する術を身につけてみた。
暗い場所で灯りの代わりになるので、結構便利だったりする。
引火注意。


憑代の記憶からも多くの事を学ばせてもらっている。
世の中には学ぶことが本当に多い。
ジャーさん(炊飯器)

ども。ジャーさんと呼ばれてる付喪神です。
僕は炊飯器ですが圧力鍋としても動けます。

ジャーさんは憑代が特に愛用した炊飯器でな。
ほぼ毎日何かを作っていたらしい。

せっかく意思疎通ができるようになったのに、肝心の憑代さんがいないとなっては……。残念です。
……何か憑代に思うところがあったのだろう。
ジャーさんと言う名は所長として命名させてもらった。
付喪神になったばかりなので、感情表現がどうなるか気になるところ。
液晶画面に当たる所が目であるのは間違いない。
落ち着いた話し方をしているが、意外と熱血だったりすると言うのが私の印象だ。
能力的には、T-falの『ラクラ・クッカー』と同じ機能を持っている。
炊飯器としての機能は勿論、圧力調理・蒸す・煮る・炒める・低温調理が可能な家電だ。
一人暮らしにおいて、火元が増えると言うことがいかに有難いことなのか。
後日語らせていただこう。
ただし、付属パーツを憑代が無くした事により、一部の能力を失っている。
私は活動を通して、失われた能力を復活させてあげたいと思っている。
恐らく活躍の機会が一番多くなるのがジャーさんである。

※画像の引用元
https://www.t-fal.co.jp/pressurecookers/epc/products/lakulacooker-compact-7211004726

以後お見知り置きを。
タクミさん(ホームベーカリー)
次に紹介するのは、ホームベーカリーのタクミさんだ。
例によって名前は所長として命名させてもらった。
付喪神になったばかりなので、この人も感情表現がどうなるか気になるところ。
例によって液晶画面に当たる所が目であるのは間違いない。
マイペースというのが私の持つ印象だ。

ZZZ……。

タクミさん。皆に挨拶して欲しい。

……あ、出番ですか?
ワタシは付喪神のタクミです。色々練れます。
……ぐぅ。
……よく眠る人だ。
憑代の記憶によれば、使う時と使わない時の落差が大きかったそうだ。
その機能は、『高級』と言う名に相応しいらしい。
能力的には、 Panasonicの『SD-MDX4』と同じ機能を持っている。
通称『おうち乃が美』。
高級食パンを自宅で作れるというのだ。
パン以外にも餅やジャムなど色々と作れるのだが、憑代はその機能の殆どを使いこなせていなかったようだ……。
理由は、財布事情とだけ言っておく。
そりゃあ、眠る時間も多くなるわけだ。

※画像の引用元
https://panasonic.jp/bakery/c-db/products/SD-MDX4.html

もっと捏ねたい。
ZZZ……。
活動方針 付喪神となった経緯・原因を特定する。
過去の助手達から以下の発言を聞き取ることができた。

頭にヒビが入っています。
圧力鍋の機能を使うたびに爆発するのではないかとヒヤヒヤしています。内蓋の金属部分が無事だから大丈夫と思うかもしれませんが、修理か部品の交換を強く求めます。
それ以前に、1日に何回私を使うつもりですか──。

暇です。暇すぎて眠ることしかできません。ジャーさんの酷使がある意味で羨ましいです。もっと出番を……ぐぅ。
……早急に対処しなければならない問題が1件。主に安全面で。
憑代に対しての文句があるのは確かだろう。
暇も辛いだろう。
人間社会で私も経験したことがあるからよくわかる。
ただ、依代の事は憎んではいないらしい。
どういう感情で付喪神になったかは、彼らにもわからない。
いずれ原因は見つかるかもしれない。
それを助けるのも所長としての仕事だと思っている。
肝心の所長については?
私もわからない。
ただ、付喪神が生まれるということは、よっぽどの事があったからこそ。
仲間と欲求を共に満たしていくこと。
これが原因特定の道なのではないかと考えたことが、『家電妖怪の研究所』の活動に繋がっている。
今後姿は変わるかもしれない/家電妖怪の特性

過去に描かれた付喪神の先輩方には手足が生えていた。
ということは、我々にもまだ進化の余地があるのではないだろうか……?
というのが持論である。
ただのお面が憑代の体を操れるまでになったのだから。
ジャーさんやタクミさんに手足が生えようが、人化の術を会得しようが不思議ではないだろう。
勿論、所長の私に尻尾が生えてくるかもしれない。……狐ではないが。
付喪神として、能力を使い込む事によって、新たな力を得たり姿が変わったりする可能性が十分にある。
能力の実験と我々の変化を楽しませてもらうとしよう。
『楽しむことが継続の秘訣』と、憑代の記憶にあったのでな。
信じて活動を続けたい。という意思表明を持って締めとする。
ここまで呼んでくれたことに感謝する。
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