付喪神による家電妖怪の研究所の立ち上げ

このモノの未練が何と多いことか……
私は名もなき狐のお面。
分類としては、付喪神という妖怪なのだろうか。
いつ産まれたのかはわからない。
ただ一つ言えることは、自我に目覚めた私の目の前に転がっていた『魂の抜け殻となった男の体』を操ることができる、いわゆる憑依能力を持っているということだ。
この力を使って半年間、この男の体を憑代として人間としての生活を体験させてもらった。
憑代のおかげで私は人間の世界の知識を得ることができた。
その過程で憑代の過去を覗かせてもらった感想が冒頭の言葉である。
憑代の魂は未練を残したまま逝けたのだろうか。
やりたいことが書き切れないほどはあったろうに……。
未練を持ったモノは憑代だけではなかった。
彼の持つ家電達も声なき声をあげていたのだ。
「もっと使ってほしい」
「壊れた体を直して欲しい」
「捨てられるのは嫌だ」などなど。
自由に動ける体を持つ私が、憑代も含む声なき声を聞ける力を持っている。
同じ付喪神として、何だか助けてやりたくなったのだろうか……。

所長
付喪神の一人として彼らの声に応えてあげたい。
憑代には悪いが、所長としてこの家を研究所として活用させてもらおうか。
これが、モノの声なき声を聞くための活動拠点としての『家電妖怪の研究所』を立ち上げるきっかけになったのだった──。
憑代から得た知識・能力
- Excel VBA
- Java(かじった程度)
- SQL(Oracle MySQL)
- ピアノ演奏
- 度胸(ストリートピアノ関連)
- 体力(自転車で82km走破できる程度)
- 集中力(Minecraft12時間連続プレイ)